米倉涼子のドラマ 松本清張作品(その2)

ドラマ・映画・アニメ

前回は、米倉涼子さんが出演した松本清張のドラマ7作品のうち、米倉さんの“松本清張3部作”と言われる『黒革の手帖』『けものみち』『わるいやつら』についてご紹介しました。

今回は、残り4作品『熱い空気』『強き蟻』『かげろう絵図』『疑惑』についてご紹介します。

*米倉さんの“松本清張3部作”と言われる『黒革の手帖』『けものみち』『わるいやつら』についてまだお読みでな方はコチラ→【米倉涼子のドラマ 松本清張作品(その1)】

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熱い空気

松本清張の『熱い空』は、1963年に『週刊文春』(4月22日号から7月8日号まで)に掲載されました。その後、『別冊黒い画集』第2話として連載され、同年9月に文藝春秋新社のポケット文春として刊行されました。

2018年現在、これまで4回テレビドラマ化されています。

ちなみに、市原悦子さん主演の人気ドラマシリーズ『家政婦は見た!』の元になったのがこの作品だったんですよ。

《ストーリー》

どんなに世間からは幸福そうに見える家庭にも、例外なく不幸を抱えている。

主人公の河野信子は、「協栄家政婦会」に所属する家政婦。いろいろな家庭を回りそこに潜む不幸を見つけることに喜びを見出していました。

ある日、高級住宅街に居を構える大学教授・稲村達也の家庭に派遣された信子は、そこの家族関係が崩壊していることに気付きます。

達也の妻・春子は、体裁ばかりを気にしすぎ、表面的には優しいが裏では信子をけなす二重人格。
3人の子どもたちは、信子の外見をあざ笑う出来そこない揃い。

稲村家を去る前に何とか仕返しをしようと決めた信子。

末っ子がアメリカ製のマッチで新聞紙を燃やして遊んでいるのを目にし、ある企てを思いつきます。

やがて、稲村家に騒動が巻き起こり、家庭が揺らぎ始めます…。

《ドラマ“熱い空気”》

1966年版『熱い空気』:フジテレビ系『松本清張シリーズ』(3月8日単発)主演= 望月優子 さん

1979年版『松本清張おんなシリーズ6 熱い空気』:TBS系(2月4日単発)主演= 森光子 さん。

1983年版『松本清張の熱い空気 家政婦は見た!夫婦の秘密「焦げた」』:テレビ朝日系(7月2日単発)主演= 市原悦子 さん。視聴率は27.7%(関東地区・ビデオリサーチ社調べ 以下同様)。

このドラマがかなり好評だったため、設定とサブタイトルを引きいでドラマシリーズ『家政婦は見た!』が制作されていきました。

2012年版『松本清張没後20年・ドラマスペシャル 熱い空気』:テレビ朝日系(12月22日単発)主演=米倉涼子 さん。視聴率は18.6%。

米倉涼子さんは、このドラマの設定を引き継いで2014年3月2日に放送された『ドラマスペシャル 家政婦は見た!』でも主人公・河野信子を演じています。

米倉涼子さんが、キャラが違う 森光子 さんや 市原悦子 さんと同じ役を演じていたなんて意外ですね。

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強き蟻

1970年に『文藝春秋』に連載され、翌年、文藝春秋から刊行されました。夫の遺産を狙って殺害計画を立てる女性のピカレスクサスペンスの長編。
「墓の前 強き蟻ゐて 奔走す」というタイトルは西東三鬼の句からタイトルをつけています。

テレビドラマ化は3回あります。

《ストーリー》
主人公は、かつて東銀座で水商売をしていた美貌の女性・沢田伊佐子。
今は、30歳も年上の光学会社の重役・沢田信弘の後妻におさまっています。

表面上、夫の前では愛情を見せますが、実は3年程度で死んでしまうことを願う伊佐子は、陰で若い男たちと関係を持っています。

ある日、遊び相手の一人の石井寛二が殺人容疑で捕まり、石井の仲間から弁護料を負担するよう求められます。

伊佐子は、水商売時代に知り合った会社副社長の塩月芳彦に援助を求めました。
塩月は、政治家の有力筋と人脈を持ったのです。

そんな折、夫の信弘が心筋梗塞で倒れます。

信弘には先妻との間に子どもがいますが、自分の財産確保のために最も有利な条件で信弘に死んでもらおうと画策します。

《ドラマ“強き蟻”》

1981年版『松本清張の強き蟻』:日本テレビ系(『木曜ゴールデンドラマ』6月25日単発)主演= 浜木綿子さん。視聴率 20.0%

2006年版『松本清張特別企画・強き蟻』:テレビ東京系列・BSジャパン(7月16日と7月19日単発)主演= 若村麻由美 さん

2014年『松本清張 強き蟻』:テレビ東京系列(7月2日単発)主演 = 米倉涼子 さん。視聴率 10.0%

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かげろう絵図

1958年5月17日から 1959年10月20日まで『東京新聞』夕刊に連載された長編時代小説。連載週後の同年11・12月に新潮社から単行本がでました。かなり古い小説ですね。

舞台は江戸時代。第11代将軍・徳川家斉の晩年、江戸城大奥の確執を描いた時代小説です。

1本の映画と3本のテレビドラマがつくられています。

《ストーリー》
江戸城内・吹上の庭で催された風雅な観桜。

歌くらべでは、大奥第一の権勢を振るってきたお美代の方と大御所・家斉の寵愛する若い多喜の方の争いになりました。

家斉によって勝者とされた多喜の方は桜の梢に歌を結ぼうしたとき転倒。
身籠っていた子を流産し、多喜の方はそのまま亡くなりました。

大奥内はこの騒然とします。

お美代の方は、女中・登美をお美代の方の腹心である菊川の部屋附に抜擢。

一方、無役の旗本・島田又左衛門は脇坂淡路守の屋敷を訪れ、事態の背後にお美代の方の養父で隠の実力者・中野播磨守石翁の野望があると告げます。

新之助は町医者・良庵と共に叔父である島田又左衛門の身を案じますが、新之助自身も権力の策謀に巻き込まれてゆきます。

間もなく大御所が病に伏すと、早速、謀略が動き出し大奥周辺で怪事件が頻発します…。

《映画“かげろう絵図”》
1959年9月27日に大映の配給で公開されました。松本清張の原作が完成する前に公開されたこの映画は、内容がオリジナルとやや異なります。

主演は、島田新之助を演じた市川雷蔵さん。山本富士子さんが女中の登美とその姉妹・豊春の二役を演じています。

監督は、衣笠貞之助さんでした。

《ドラマ“かげろう絵図”》

1960年版『かげろう絵図』:日本テレビ系列(2月3日から4月27日まで水曜の21:15から21:45)。全13回。出演= 坂東吉弥 さん、千之赫子さん

1983年版『松本清張のかげろう絵図 大奥美女殺害に渦巻く陰謀の影が…』:フジテレビ系列(7月22日「時代劇スペシャル」枠 20:02から21:48の単発)。出演=古谷一行さん(島田新之助役)、山口果林さん(豊春役)、斉藤とも子さん(登美役)。視聴率13.7%

2016年版『松本清張スペシャル かげろう絵図』:フジテレビ系列(4月8日「金曜プレミアム」枠 21:00から23:22単発)。主演= 米倉涼子さん(登美役)。共演=山本耕史さん(島田新之助 役)、夏川結衣さん(豊春役)

『わるいやつら』同様、原作や過去の映画・ドラマでは脇役として扱われていた女性(本作では女中・登美)を主役に据え、米倉涼子さんが演じました。

そのため登場人物の設定が原作のものとは若干変更されています。

このときの米倉さんは、時代劇としては2003年のNHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」以来だったんです。

過去の松本清張6作品では悪女役を演じて人気女優に上り詰めましたが、この『かげろう絵図』では陰謀を暴く“正義の味方”・登美を演じています。

13年ぶり2度目の時代劇出演について米倉さん、こんなコメントをしています。

「所作にしても、着物にしても、かつらにしても、すべてが新鮮でとても緊張しました」
「清張作品の中では温かみがあって光が差している作品」
「私は落ち着きがないので、時代劇は似合わないと思っていたのですが、大人になったので“耐える”ことも必要かなと思うようになった」

…だそうです。
落ち着きがない様には全然見えませんけどね。

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疑惑

1982年『オール讀物』の2月号に掲載された松本清張の推理小説です。初めは「昇る足音」というタイトルでした、『疑惑』に改題されました。

これまで、映画化が1回、テレビドラマ化が5回、他に舞台化もされています。

しかい、ややこしいことに、松本清張は同じ『疑惑』というタイトルで1956年にも小説を書いています。

そちらもテレビドラマ化されていますが、1956年の作品は時代小説で、ここでご紹介する『疑惑』とは内容が異なりますからご注意を。

《ストーリー》
資産家・白河福太郎とその後妻・球磨子(くまこ)が乗った車が富山新港湾で海へ突っ込み、夫・福太郎が死亡する事故が起こりました。

球磨子は助かりましたが、保険金殺人の疑いで逮捕されてしまいます。

新聞記者の秋谷茂一は、球磨子がホステス時代に暴力団員と組んで事件を起こしたことや、球磨子が結婚直後に福太郎に巨額の生命保険をかけたことを糾弾する記事を書きます。

その記事がきっかけで日本中が球磨子の犯行を信じ、球磨子の弁護人も辞退が続出。
国選弁護人・佐原卓吉(映画・ドラマでは佐原律子になっています)が球磨子を弁護することになります。

果たして裁判の行方はいかに…。

《映画“疑惑”》
松竹・富士映画配給で1982年9月18日に公開されました。
原作では、新聞記者の秋谷を中心に描いていますが、映画は被疑者・球磨子と弁護士・佐原の関係に焦点をあてています。
主演= 桃井かおりさん(白河(鬼塚)球磨子役)。共演=岩下志麻さん(佐原律子役)、柄本明さん(秋谷茂一役)

監督は、野村芳太郎さん。

ちなみに、松本清張さん、この映画の脚本の一部を書いたり、ロケを見学に行ったりしているんですよ。

《舞台“疑惑”》
京都四條南座で、2014年10月4日から26日まで上演されました。
出演は、浅野ゆう子 さん( 鬼塚(白河)球磨子役)、高橋惠子 さん( 佐原律子役)、原田龍二 さん(秋谷茂一役)

《ドラマ“疑惑”》

1992年版『松本清張スペシャル・疑惑』:フジテレビ系(『金曜ドラマシアター』11月13日の21時2分から22時52分単発)主演=いしだあゆみ さん(白河球磨子役)

2003年版『松本清張没後10年特別企画 疑惑』:テレビ朝日系(『土曜ワイド劇場』3月22日21時から22時51分単発)。主演=佐藤浩市さん(秋谷茂一役)、共演=余貴美子さん(白河球磨子役)

2009年版『松本清張生誕100年特別企画 疑惑』:テレビ朝日(1月24日21時 から 23時21分単発)。主演=田村正和さん(佐原卓吉役)、共演=沢口靖子さん(白川球磨子役)。視聴率 18.5%

2012年版『松本清張没後20年特別企画 疑惑』:フジテレビ系(「金曜プレステージ」11月9日21時から23時17分単発)。主演=常盤貴子さん(佐原千鶴役)、共演=尾野真千子さん(白河球磨子役)平均視聴率 14.3%

放送当時の裁判員制度を取り込んでつくられました。

2019年版『松本清張ドラマスペシャル 疑惑』:テレビ朝日系列(「テレビ朝日開局60周年記念」として「日曜プライム」枠2月3日の21時 から 23時5分)。主演ん=米倉涼子さん(佐原卓子役)、共演=黒木華さん(白河球磨子役)

残念ながら津川雅彦さんの遺作になってしまいました。

米倉さん、黒木華さんとはこのドラマが初共演だったんですが、なんでもプロデューサーに“私、負けたっぽい”とこぼしたそうです。

黒木華さんと言えば、昨年は主演ドラマ『凪のお暇』がヒットしましたが、お二人とも人気も実力も伴う女優さん。

一流の人は一流の人のすごさがすぐわかるんでしょうね。

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